明日の記憶
2007.08.02 (Thu)
若年性アルツハイマーをテーマにした小説を読んだ。渡辺謙さん主演で映画化もされたのでご存知の方も多いと思う。
「最近ちょっと物忘れがひどい」といった初期の段階からどんどんアルツハイマーの症状が進行してゆく様がリアルだ。指の間からサラサラとこぼれおちる砂のように短期記憶が失われてゆく。本人のいらだちと恐怖が手にとるように描写されている。
私はほぼ毎日のようにDSの脳トレをやっているが漢字や数字を2分間眺めそれを思い出して書くというテストで思い出しながら書き始めて1分半を過ぎると全く頭の中が真っ白になり何一つ思い出すことができなくなる。あの感じに近いのだろうと思った。
恐ろしいと思う。
漢字がわからないという父もこの小説の主人公のような気持ちでいるのだろうか。素直に単にわからないということではなく、なぜ、わからないのだ?という問いと戦っているのだろうか。祖母の「最近、もの覚えが悪くて・・・」というのもどんどん忘れてしまう恐怖の中での言葉なのだろうか。
死が怖いのではなく自分が自分でなくなるのが怖いのだと聞いた事がある。まさにそういう体験をさせてくれる小説だった。